統一教会裁判最終陳述

 2023年11月28日

▼10月13日、政府は旧統一教会に対する解散命令請求にようやく踏み切りました。文科省の説明によると、遅くとも1980年代から、多数の者を不安と困惑に陥れ、自由な意思決定に制限を加え、正常な判断が妨げられる状態で、問題ある物品販売や献金獲得を長期間にわたり、継続的に行ってきたことを理由としています。遅きに失したとはいえ、多くの被害者の声と社会の良識が政府を動かした成果として、国民の圧倒的多数が歓迎するところとなっています。


▼政府は統一教会の「悪質性」「組織性」「継続性」の3要件を意識して、5000点に及ぶ厖大な証拠によって立証しえたと胸を張っています。「悪質性・組織性・継続性」という三拍子をそろえた行為主体とは、日常的な用語における「反社会的集団」以外の何ものでもありません。このたびの解散命令請求は、統一教会のこれまでの長年にわたる行為を集大成して、政府が「反社会的集団」と認めたことにほかなりません。

▼統一教会が「反社会的集団」であることはいまに始まったことではないのです。教団を「反社会的集団」と批判することが違法な言論であるはずはありません。また、ジャーナリズムは、多くの人を不幸にする悪質な集団やその行為への批判を躊躇してはなりません。

▼しかし、批判の言論は往々にして過剰な反応に曝されます。昨年7月8日の安倍晋三元総理銃撃事件をきっかけに、教団と政治家との癒着、高額献金、二世の苦悩などが大きな社会問題として噴出しました。私も、永く統一教会の取材を続けてきたジャーナリストとして、テレビ、ラジオ、新聞などの取材に応えて、報告も解説もしてきました。ところが、昨年10月27日に教団が本件訴訟を提起したとたん、私に対するテレビ出演の依頼は完全になくなっていまに至っています。教団を追及する私に対する「口封じ」は、訴えることだけで、目的を達したのです。これこそ、典型的なスラップ訴訟の効果と言わざるをえません。

▼教団が私を訴えたのは、昨年8月19日の朝に放送された日本テレビ系の「スッキリ」という番組での発言を捉えたものです。この番組のテーマは、教団との癒着を断ちきれない萩生田光一自民党政調会長への批判でした。スタジオ出演した私は、教団との癒着を断つべき理由として、「霊感商法をやってきた反社会的集団だっていうのは警察庁ももう認めているわけですから」と発言しました。かなり長い多くの発言のなかの、たった40文字、たった7秒。しかも番組本来の主題である萩生田議員批判とは離れた発言でした。教団はここを狙い撃ちしてきました。

▼この私の発言が、視聴者の認識にどれほど届き、統一教会のいかなる名誉を毀損したというのでしょうか。教団の教義に基づいて信者たちが行ってきた霊感商法や高額献金勧誘の悪質性・組織性・継続性は、教団を「反社会的集団」というに相応しいものではありませんか。そのことは、本件に提出された厖大なこれまでの判決が明らかにしています。

▼本件訴訟において積み上げられた教団の「反社会的集団性の立証」は、解散命令請求での「悪質性・組織性・継続性の立証」に重なります。はからずも、本件の判決は、解散命令裁判を先取りするものとして、注目されることになっています。裁判官の皆様が、本件に提出された多くの証拠を適正に判断されるものと確信して、私の意見陳述を終わります。

最終口頭弁論資料.pdf最終口頭弁論資料



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